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過払い金・借金問題コラム

2016年05月18日(水曜日)

◎過払い金の時効はいつなの?
過払い金は、「借金についての最後の取引を行った時点」から10年が経過すると時効となってしまいます。

実際には「借金全額を返済した時点から10年が経過しているかどうか?」が重要となるケースが多いです。
時効が成立してしまうとどんなにこちら側が正しい主張をしていたとしても、業者側から「この件は時効が成立しているので返せません」と主張されてしまいます。

時効という制度は法律上根拠のあることですので、たとえ裁判所に訴えたとしてもお金を返してもらうことができなくなってしまうのです。
過払い金は「お金を借りた側」から「貸した側(消費者金融)」に対してお金を返してください、と請求することができるお金のことです。

返してもらえる過払い金は借金の金額によっては100万円以上の金額になる場合もあります。
もし、100万円が今すぐ手元に返ってきたら生活をかなり楽に過ごすことができますよね。
「自分にも過払い金があるかも?」と心当たりのある方は、時効が成立していないかどうかを早めにチェックしてみる必要があります。

以下、過払い金が時効にかかっているかどうか?の判断の仕方について解説していきます。参考にしてみてくださいね。

 

◎過払い金の起点(発生)はいつなの?
過払い金の時効の起点(いつから10年間をカウントするのか?)について理解しておきましょう。

過払い金の時効は「その債権者と最後の取引をした日」が起点となります。
ここでいう「取引」というのはお金を借りたり、返したりといった行為のことを言います。
過払い金について考える場合は「借金を完済した日」がこの最後の取引の日となることが多いでしょう。
(まだ完済していない場合には10年間取引が行われないということは通常考えにくいからです)

たとえば、2013年1月1日に100万円を借りて、2013年10月31日に全額を返済したという場合には、時効の起算点は2013年10月31日ということになります。

時効は10年間で成立してしまいますので、この人が10年後である2023年10月31日まで過払い金について何の主張もしなかった場合、時効が成立するということになりますね。

 

◎過払い金の時効を防ぐ方法は?
過払い金が時効にかかってしまうのを防ぐ方法として、「時効の中断」というものがあります。

時効の中断には「裁判上の請求」と「裁判外の請求」の2種類があります。

ことばが少し難しいですが、要するに裁判所を通して業者側に伝えるか、自分で伝えるか、の違いです。

裁判上の請求を行う場合には、過払い金の返還請求事件を裁判所に対して申し立てることになります。
裁判上の請求を行った場合、時効の計算は「裁判を申し立てた時点から、一からやり直し」ということになります。これが時効の中断の効果です。

ですから、「残りあと30日で時効が成立してしまう」という状況であったとしても裁判所に申し立てを行った時点から「またここから10年」という形で時効はリセットされるということですね。
もう一つの時効中断の方法である「裁判外の請求」は、請求書(通常は「内容証明郵便」というものを使います)などを使って「過払い金があるので、返還してください」という内容を消費者金融会社などに郵送するだけでできます。

裁判外の請求は手続きは簡単ですが、注意するべき点が2点あります。
1つ目は時効の中断効果が「6ヶ月間」しか認められないということです。
裁判上の請求で時効がリセットされたのに対して、時効中断の効果は小さいと言えます。
6ヶ月間しか時効中断が認められないので、「あと30日で時効が成立する」という場合には「あと30日間+6ヶ月間(180日間)=210日間で時効が成立する」という状態になるということですね。
裁判外の請求の2つ目の注意点は、「1回だけしか使えない」ということです。

上の例で裁判外の請求を行ったことで「残り210日間で時効が成立する」という状態になったあと、その210日目が近づいてきたのでもう一度裁判外の請求を行ってまた6ヶ月間時効を伸ばす、ということはできないということですね。

裁判外の請求は期日が差し迫っている時に緊急避難的につかうもの、と理解しておきましょう。

通常は、過払い金の時効が差し迫っていることがわかった時点で、弁護士などの法律家に助言を求めるのが最も安全です。

 

◎「過払い金の時効が。。。」あの広告は本当なの?
テレビCMなどで「過払い金返還には時効があります」と宣伝されているのをよく見かけますよね。

あまりにもよく宣伝されているので、「ほんとうなのかな?法律事務所が儲けたいから言っているだけなんじゃないの?」と不安に感じている方も多いかもしれません。
ですが、過払い金は上で説明させていただいた通り、最後の取引の日から10年間が経過すると時効が成立し、返してもらうことができなくなってしまいます。

もし、「自分の過払い金が時効にかかってしまう可能性が高い」と判断される場合には、司法書士や弁護士の事務所で相談するようにしましょう。

万が一時効が成立してしまうと、本来返してもらえるはずのお金が返ってこないことになってしまうためです。
法律家への相談は無料で行える場合がほとんどですので、気軽に相談してみると良いですよ。

相談後、実際に過払い金の返還手続きを行ってもらうことが決定した時点で相談料が発生するのが普通です。
また、相談料は後払いや分割払いにも対応してくれる事務所がほとんどです。

 

◎過払い金の時効が過ぎてしまった事例
以下は平成21年1月22日に実際に最高裁で出された判例です。

時効が過ぎてしまった過払い金の返還を求めることができるかどうか?が争われました。

結論的には過払い金の時効計算のスタート時点を遅く設定することで「時効は成立していない」という判断になった事例です。
(事例)
Aさんが貸金業者であるBからお金を借り、返済を行いました。

この借金に設定されている利息は、「利息制限法の上限金利」を超えるものだったため、その「上限金利を超えて支払った金額」を元本に充当したものとして再計算すると、過払い金が発生しているという状態でした。
少しわかりにくいので、具体的な数字で説明しますね(実際の裁判の金額とは異なります)
100万円のお金を金利28%で借りて、1年後に利息を含めて全額を返済したとすると、

100万円(元本)+100万円×28%(利息)=128万円を支払うことになります。

つまり、元本100万円と利息28万円の合計128万円を支払ったということですね。
利息制限法に定められている上限金利は15%なので、この場合、本来とれる金利は15万円までのはずです。
それなのに28万円も支払ってしまったという状況です。
この場合、28万円−15万円=13万円多く支払っているので、この13万円が「過払い金」ということになります。
この判例で問題となったのは、このAさんが過払い金の返還請求を行ったときに、「過払い金が発生した時点」から時効の10年間が経過していることでした。

「過払い金が発生した時点」というのは要するにお金を貸し付けた時点ということです。
消費者金融などでの契約ではまず最初に「基本契約」を結び、その後は借入限度額の範囲で繰り返し「借りたり、返したり」が行われるのが普通ですよね。
(ATMなどでお金を引き出したり、入金したりを繰り返します)
この裁判では、時効が成立するのが「過払い金が発生する貸し付けを行った時点から」なのか、「最後に返済などを行ったときから」なのかが問題となったわけです。

(1回目の貸し付けでは過払い金が発生しているけれど、2回目の貸し付けでは過払い金が発生していない、という状況)
最高裁の結論としては、時効が成立するのは「最後に返済などを行ったときから」とされました。

結果としてAさんは無事に過払い金の返還を求めることが認められました。

この判決が出てからは、過払い金の時効は「最後の取引が行われた時点」から計算するものとしてルールが確立しています。

 

◎過払い金の時効が過ぎても、返還はできるのか?
過払い金が時効となった後でも、貸し付け業者側が自発的に返還を行うことは可能です。

業者側としては自社のイメージを重要視してこのような対応を取るケースがまれにあるようですが、一般的には過払い金の時効が成立している場合には「返せません」という対応をしてくるのが普通です。
最後に返済を行ったのが10年以上前である場合は、「過払い金の時効が発生しているから諦めた方が良いかも・・・」と考えてしまいがちです。

しかし、このような場合でも、下記で説明している「一連取引」や「不法行為」の考え方を適用することで時効期間を延ばすことができるのです。
過払い金の時効が過ぎても、返還を求める手段は少なからずありますので、あきらめることなく対策を考えるようにしましょう。

過払い金の返還請求は、弁護士などの法律の専門家に依頼することでスムーズに進めることができますよ。

 

◎自分の時効を知る方法
過去に借金を完済してからかなり時間が経ってしまっている、という場合、「時効がどのぐらいまで進んでいるんだろう?」と不安になりますよね。
当時の借金の契約書や取引の履歴を証明するようなものが手元にない、という方も同様の不安を抱えてらっしゃるかもしれません。

その場合は弁護士や司法書士などの法律の専門家の協力を仰ぐようにしましょう。
専門家に依頼すると、消費者金融などの過去の債権者に対して「取引履歴の開示」を請求してもらえます。
「取引履歴の開示」は借金の契約書などの正式な書類を紛失してしまっている場合にも問題なく行うことができます。

「過去のこの時点に大体このぐらいの借金を、この消費者金融でした」という情報や、当時の預金通帳などを持って専門家の事務所に相談に行くようにしましょう。
取引履歴の開示は自分自身で行うこともできますが、専門家に依頼した時よりも時間がかかってしまったり、書類に不備があることなどを理由に拒否されてしまうケースもあるようです。

また、取引履歴の開示を請求しても時効の中断とはなりませんので、時効までの期間が差し迫っている方は無理に自分で手続きを行おうとするよりも、専門家の協力を仰ぐことが適切と言えるでしょう。

 

◎貸金業者各社の金利変更の時期一覧
そもそも過払い金が発生するのは、貸金業者が「違法な高い金利をとっていた」ということが原因です。

業者側も現在はこのような違法な金利は取らないように貸付金利を変更しています。
貸金業者各社の金利変更の時期を一覧にすると以下のようになります。
・プロミス:2007年12月19日〜
・アコム :2007年6月18日〜
・アイフル:2007年8月1日〜
・武富士 :2008年1月25日〜
その他の貸し付け業者でもおおよそ2007年なかば〜2008年の初めにかけて金利の変更を行っています。

上記の日以降は、利息制限法の範囲内の適法な貸し付けを行うようになったということですね。
逆に言うと、過去の借金がこれらの時点以前のものである場合には、過払い金が発生している可能性も高くなります。

過払い金の返還は司法書士や弁護士などの専門家に相談することでスムーズに行うことができます。

当時の契約書等を紛失してしまっている場合でも心配はありません。
当時の預金通帳などの資料があれば消費者金融側に取引履歴の開示を求めることができますよ。
おおよその情報(借入先やだいたいの金額)を調べて専門家の事務所に相談に行くようにしましょう。
過払い金が発生するのは、貸金業者が「違法な高い金利をとっていた」ということが原因、と書きました。

「違法なんだったら刑罰を受けて当然なんじゃないの?」と思われる方もおられるかもしれませんね。

実は、数年前までは「グレーゾーン金利」といって、「違法だけど刑罰はない」という金利を適用している時期があったのです。
(この「グレーゾーン金利」に基づいて払ってしまったお金については、過払い金として返還請求ができる、というわけです)
貸金業者としては、過払い金が社会問題としてとりあげられるようになってからはこの「グレーゾーン金利」を取り下げ、適法な金利への変更を行ったという経緯があります。
グレーゾン金利が改定される前までは、貸金業者側は「違法なのはわかっているから、債務者の方から『違法な部分については払いません』と申し出てきたら応じるけど、気づかないで払ってくれる分はもらっておこう。だって刑罰がないんだから」という対応をしていたということです。

テレビCMをたくさん流すような大企業がこんな詐欺まがいの取引をやっていたなんて信じられないようなことですが、数年前まではこれが当たり前だったのです。

過払い金は返してもらう権利のあるお金です。
「自分にも過払い金があるかも?」と心当たりがおありの方は弁護士や司法書士などの専門家に相談するようにしましょう。

 

◎「不法行為」という、あと3年の猶予期間が発生する嬉しいパターンがあるらしい。
もし、過払い金の時効が成立していることがわかったら、どうしようもないのでしょうか。

考えられる対抗策としては、貸金業者が過払い金を違法に徴収していたことを「不法行為」として立証するという手段があります。
不法行為の時効は「その不法行為があったということを、被害者側が認識した時点から3年間」となっています。

過払い金を支払ってしまった人が「昔に支払ったあのお金は、過払い金の支払いにあたるんだ!」と認識した時点から3年間の時効計算がスタートするということですね。

ただし、不法行為の立証責任(証拠を提出して「この行為が不法行為にあたります」と証明する義務のこと)は被害者側にあります。

不法行為として過払い金の返還を求めることができるかどうか?は具体的なケースによって異なり、専門的な知識が必要となります。法律の専門家に助言してもらうことをおすすめします。

過去の借金を完済してから10年以上が経過しているという人の場合は、このような対抗手段があるということもしっておきましょう。

 

◎「取引の分断」という隠された罠があるらしい。
自分の過払い金が時効となるのはいつか?を考える場合、「取引の分断」というものに注意しておく必要があります。
消費者金融などで借り入れをする際には、最初にまず消費貸借契約を結び、カードをつくりますよね。

そのあと、ATMなどで繰り返しお金を引き出したり、返したりといったように継続的に取引を行うのが普通です。
このとき、1回目の借入では過払い金が発生していたけれど、2回目の借入では過払い金が発生していなかったというケースを考えてみましょう。

問題となるのは、1回目の借入からは10年が経過しているけれど、2回目の借入からはまだ10年間が経過していないという場合です。

このとき、業者側としては「過払い金は時効にかかっている」と主張することが考えられます。
2回目の借入からは10年間が経過していませんが、1回目の借入からは10年間が経過しているためです。
つまり、1回目と2回目の借入を「別の取引」と考えて、時効の計算スタートを1回目の取引が完了した時点から、と主張するわけですね。
このような考え方を「取引の分断」といいます。

「取引の分断」を前提として考えると時効までの期間が短くなってしまいます。
過払い金の返還を求める側(お金を借りた人)としては、できればこの1回目の借入と2回目の借入を「一つの取引」と考える方が有利です。

なぜかというと2回目から時効の計算をスタートした方が時効までの期間が長くなるためですね。

このような考え方を「一連取引」といいます。
つまり、1回目の取引と2回目の取引を「一つのもの」とみなして、時効のスタートは2回目の取引が終了した時点から、と考えるわけですね。
一つの業者との複数回のやりとりを、「取引の分断」と考えるか、「一連取引」と考えるかによって時効の成立時点が変わってくるということですね。
取引の分断とみなされるか、一連取引とみなされるかは個別の状況によって異なりますが、一般的な消費者金融での借金は「一連取引」とみなされる可能性が高いといえます。

最初に基本契約を取り交わしてカードをつくり、その後はその契約に基づいてお金の出入金を行うため、個別の貸し借りは「一つの取引=一連取引」とみなされる可能性が高いためです。

ご自分の過去の借金が「取引の分断」となるか、「一連取引」になるかについては、司法書士や弁護士などの法律の専門家にアドバイスを求めるようにしましょう。

過払い金シミュレーター

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