大手の消費者金融や銀行に借金を断られた…どうしてもお金が必要なのにこうした状況に陥ってしまうと、表に出てこない法律に違反した貸金業者、いわゆる「ヤミ金」にちょっとだけ頼ろうと考える人が出てきます。危ない業者であることを理解していても、「少しだけ借りてすぐに返せば大丈夫だろう」と軽く考えてしまうのです。

しかし、どれだけ困ってもヤミ金だけには手を出してはいけません。今回の記事では、ヤミ金に手を出すべきではない理由をご説明します。

現在の消費者金融の上限金利は、「貸金業法」という法律によって明確に規定されています。借り入れが10万円未満の場合は20%、10万円から100万円未満は18%、100万円を超える場合は15%が上限金利です。消費者金融は、上限金利を超えてお金を貸し付けてはいけません。

しかし、ヤミ金はこうした法律を知らない「カモ」に向けて、甘い言葉で異常な金利でお金を貸し付けます。象徴的な言葉として「トイチ（十日で1割）」があります。仮に10万円をトイチで借りたとすると、十日後に11000円ですが、複利の場合一年後には利息が3000％を超えます。返済金額が300万を超えてしまいます。

もちろん、年利が3000％以上というのは貸金業法の規制を完全に無視した犯罪的な暴利です。こうなると、元金である10万円はいつまで経っても減らないでしょう。返済日のたびに利息だけを支払うのに四苦八苦し、そのうち友人や知人を巻き込んで被害を与えてしまいます。経済的な損害だけでなく、社会的・精神的・肉体的に取り返しのつかないダメージを受ける可能性があります。これだけでも、ヤミ金に手を出すべきでない理由として十分でしょう。

一見「無審査」「電話一本で」など借りやすく、ソフトに相談してくれるので取っつきやすく見えるかもしれません。それでも、ヤミ金には手を出してはいけません。

借りやすく返済しやすく見せる秘訣が、「小口融資」です。小口融資とは、数百万円レベルの大きな金額ではなく、10万円や20万円など小さめの金額を貸し出すことです。

ヤミ金の融資は、「トイチ」や「トゴ（十日で5割）」と言われるように法外な金利の高さがあります。それにもかかわらず借りてしまうのは、小口融資であるために一見返済しやすく見えるからです。

例えば、一人にトゴで300万円貸したとしても返済される可能性はありません。十日後に150万円返済する能力を持つ人はヤミ金でお金を借りることはないでしょう。しかし、仮に三十人に10万円ずつ貸せば、脅したりなだめたりしながら二十人から利子の5万円を含めて返済させることができる可能性があります。法外な高利でも返済しやすく見えるように、ヤミ金では小口融資によって利益を上げようとしています。

また、「実績融資」という言葉もあります。お金を借りたり返済したりした履歴は、信用機関に信用情報（実績）として登録されます。ヤミ金業者は、小口の融資や返済を利用者＝カモに繰り返させて実績を作れると吹き込み、そのうち自分たちから抜け出せなくなるように引きずり込むのです。

ヤミ金はただお金を貸し付けるだけではなく、近づいてきたカモに犯罪の片棒を担がせることがあります。これもヤミ金に関わってはいけない理由です。

犯罪とは、「アルバイト詐欺」と呼ばれる手法です。これは、大手消費者金融からの借入を「調査」「アンケート」などの名目で利用者に担当させるものです。申込は利用者にさせて、振込先はヤミ金業者の口座を指定させます。返済は業者が担当し、振込額の一部を利用者に報酬として渡す、と吹き込んで大手企業からお金を巻き上げる手口です。

返済は業者が担当すると伝えるものの、いざ返済日になると引き落とされる予定の業者の口座がなくなっています。消費者金融は、当然申込者であるヤミ金利用者に電話をかけて返済を催促します。結果的に、ヤミ金業者だけがお金を手にし、利用者は債務だけを背負わされてしまうのです。

こうした犯罪的な手口に、知らず知らず手を染めさせるのがヤミ金の手口の一つです。お金を返せば手が切れるわけではなく、犯罪組織に荷担することになる可能性がありますので注意してください。

ヤミ金は、自分たちから抜け出せなくなるような仕組みを構築しています。一～二回数日だけ利用するつもりでも、ヤミ金に対する借金や利息だけを返すのに人生を消耗する羽目に陥ります。困った場合は弁護士など専門家に相談して、ヤミ金には近づかないようにしましょう。