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過払い金・借金問題コラム

2016年09月28日(水曜日)

・借金にも時効は存在する!

「他人から借りたものは、期限までにきちんと返す」

これが一般的に考えられている社会のルールですよね。
借金を期限までに返さない場合には、裁判所に訴えられて不利益を被ることもあるので注意が必要です。

このように、あくまでも借りたお金は期限までにきっちり返すのが原則ですが、 「原則」には「例外」があるというのも世の中のルールというものかもしれません。

たとえば「原則としてOKだよ」と言われたら、「例外としてNGな場合もあるってこと?」と思ってしまいますよね。

お金の貸し借りに関する法律上のルールも実はこれと同じなんです。

具体的には、「借金は期限までに全額返さないとダメ」という原則に対して、「一定期間放置された借金は時効で消滅する」という例外があるんです。

 

 

・時効はいつから進行するか

借金の時効がいつ成立するか?について考える場合には、「時効計算のスタート地点がいつか?」を把握することが重要です。

借金の時効がスタートするのは「最後の取引が行われた時点」となります。
つまり、最後の返済または借入の時から借金の消滅時効はスタートします。

 

 

・時効成立の3つの条件

借りたお金について「時効が成立しているから返しません」ということを主張するためには、3つの条件があります。

1つ目は時効が成立するために必要な期間が経過していることです。

消費者金融などからお金を借りた場合には5年間、なんの音沙汰も無い状態であったということが条件となります。

 

2つ目は時効が途中で中断されていないことです。

上で「5年間なんの音沙汰も無かった場合には時効が成立する」という説明をしましたが、もしこの5年間の間に債権者側から裁判上の請求(時効の中断といいます)があった場合にはその時点で時効の計算は最初に戻ってしまうのです。

なお、この5年間の間に債権者側から裁判所を経由して督促を受け、判決が確定した場合には、時効の完成に要する期間はその判決の時点から10年になってしまいます。
(「裁判上の請求」による時効の中断は5年間の時効期間を10年間に延長する効果があります)

 

3つ目はお金を借りた本人が「時効が成立しているので返しません」という意思表示をすることです。
これを「時効の援用」といいます。時効の援用については、以下で具体的な方法を解説します。

 

 

・時効期間が過ぎただけでは時効は成立しない!?

時効は、単に期間が過ぎただけでは成立しません。

時効が成立することによって利益を得る人(つまりお金を借りた人)が、「この借金は時効が成立しているので、私はお金を払いません」という意思表示を行う必要があります。

この意思表示は「内容証明郵便」などを使って債権者側に通知を送るのが一般的です。

また、債権者側が提起した訴訟の中で債務者側の主張として債務不存在の確認という手続きを行う場合もあります。

つまり、なんらかの証拠に残るような形で債権者側に通知を行う必要があるということですね。

法律上は口頭でも時効成立を主張することは可能ですが、時効の援用を行ったということを後から確認できるようにしておく必要があるため、内容証明郵便等を使うというわけです。

 

 

・時効を成立させるためにやっていいこと

債権者側の立場からすると、自分が債務者に対して持っている債権が時効にかかってしまうと大きな損失を被ることになります。

債権者側としては「事前に時効が消滅しないように手を打っておこう」と考えるのが自然ですよね。

このような理由からお金を貸すときの契約書などに、「もしこの借金が時効にかかるようなことがあってもちゃんと払います」といったような条項を含ませ、お金を借りる人に同意を迫るということが考えられます。

 

しかし、このような契約書の文言はたとえ債務者側が同意をしていたとしても無効であるとされています。

このことを法律上は「時効の援用はあらかじめ放棄することはできない」といったように表現することがあります。

債務者の立場としては債権者側から事前に時効を主張しないように求められた場合、たとえそれに同意したとしても問題はないということですね。

 

 

・時効を成立させるためにやってはいけないこと

時効を成立させるために、お金を借りた人がぜったいにやってはいけないことがあります。
それが、時効の期間が経過した「後」に、借金の一部を支払うなどしてしまうことです。
これを法律的には「時効の利益の放棄」と呼びます。

 

具体的にどのような行為が「時効の利益の放棄」にあたるかというと、時効が成立している借金についてその一部でも返済を行ってしまうような場合です。

 

たとえば、消費者金融から借りた100万円の借金が5年間放置され、本来であれば消滅時効が成立するはずであるのに、債務者側がそうとはしらずに一部でも支払ってしまったというような場合です。

このとき、返済してしまった金額の大小は問題になりません。たとえ1000円だけの返済であっても証拠が残っていると「時効の利益の放棄」したものとして扱われてしまいます。

 

時効の利益の放棄は上のような「返済行為」だけではなく、債権者から支払を求められたときに「返しますのでもう少しだけ待ってください」といったように通知してしまったときも含みます。
(もちろん、その証拠が残っていることが大前提です)

 

時効の利益が放棄されるとその放棄が行われた時点からまた時効の計算をスタートすることになります。

債権者側としては自分の貸したお金について時効が成立している場合には、ダメ元で債務者側にこのような時効の利益の放棄をさせるように動いてくる可能性もあります。
借金の時効を主張したい方は、注意しておく必要があります。

 

 

・成立するまでの期間は?

上でも解説させていただいた通り、時効は最後の取引(お金を借りたり、返したりする行為)の時点から進行します。

消費者金融などの業者からの借金の場合には、この最後の取引から5年間が経過すると消滅時効が成立することになり、その借金については返還する義務がなくなります。

なお、ここでも原則と例外があります。

貸金業者からの借り入れの場合には原則として5年間で時効が成立しますが、例外として、もしその業者と裁判などで争い、結果として裁判所から「この金額を支払いなさい」という判決が出ている場合には、時効までの期間は10年間となります(民法第174条の2第1項)

 

なお、上記は消費者金融などからお金を借りた場合のルールになります。

一般の個人(友人や親族など)からお金が借りた場合には、裁判などがおこなわれなかった場合でも時効までの期間は10年間となります。

 

 

・債務の種類ごとの時効までの期間

法律上の債務は一定の期間放置されると時効にかかってしまいます。
ただし、その期間は「債務の種類」によってさまざまです。

業者ではない一般の個人に対して負っている債務が時効にかかるまでの期間は原則として10年であるのに対して、消費者金融などの業者からお金を借りた場合には原則として5年間が時効期間となります。
(上でも解説させていただいた通り、裁判所からの支払を命ずる判決が出ている場合などはその判決から10年間)

 

この原則が適用されない特別なケースとして、「短期消滅時効」という項目が定められています。
「原則は10年だけど、事情を考慮する必要のある特別なケースではもっと短い期間で時効が消滅するよ」ということですね。

 

短期消滅時効の具体例としては、旅館や飲食店などでのいわゆる「ツケ払い」の債務(1年間で時効になります)や、商品の仕入れを掛けで行ったときの買掛け金(2年間)などがあります。
(なお、短期消滅時効に関しては現在審議中の民法改正によって削除される可能性があります。その場合には原則に戻って5年間または10年間の時効期間が適用されることなります)

 

 

・借入から時効成立までの流れ

具体的に、お金を業者から借り入れした場合に、どのような流れで時効が成立していくのかを考えてみましょう。

 

まず、消費者金融などでカードを作り、何度かにわたってお金を引き出したり返済したりしますよね。

その後、お金を返せなくなり、毎月決められた返済日に支払ができなかったとします。
その場合、業者としては電話やハガキなどで督促を行います。数ヶ月程度はこのようなやりとりが続くでしょう。

 

数ヶ月間支払を電話やハガキで督促を行っているものの、債務者側が返済を行わない場合には、業者は裁判に訴えるなどしてお金を回収しようとします。

債務者側から異議を申し立てない場合には債権者側が裁判所に対して申し立てたままの内容で判決が出ることになります。

この判決は後で解説しているように「時効中断」の効果があるため、時効の計算はこの判決が出た時点から再スタートすることになります。

 

裁判上の請求により時効を中断した場合には時効期間は10年間に延長されます。

裁判の判決から業者側がなにも請求をおこなわなかった場合、判決から10年間が経過すると消滅時効が成立することになります。

 

そして、実際に10年間が経過して、お金を借りた人が「時効が成立したのでお金は支払いません」と内容証明郵便などを使って債権者側に通知を行うことで、消滅時効が成立することになります。
(これを時効の援用といいます)

 

 

・時効の中断

借金の時効は5年間または10年間で成立しますが、その期間中に債権者側から「時効の中断」が行われた場合にはその時効の中断が行われた時点から時効の計算をやりなおすことになります。

 

極端なケースだと、最後の取引から4年11ヶ月間が経過して、「あと一ヶ月で時効が成立する」という状況だったとしても、そのタイミングで債権者側が時効の中断を行った場合には、その時点で時効期間はリセットされ、また一から時効計算がスタートするということです。

 

具体的な時効の中断をするための方法について、次に解説します。
(裁判上の請求と、裁判外の請求の2つの方法があります)

 

 

・時効を中断するには?

時効を中断するとその中断の時点で消滅時効の計算がリセットすることになります。
問題はどのような行為がこの「時効の中断」に該当するかです。

 

時効の中断には大きく分けて「裁判上の請求」と「裁判外の請求」の2種類があります。

 

まず、「裁判上の請求」というのはその名の通り裁判所に訴えて借金の督促をすることをいいます。
(裁判上の和解をする場合も含みます)
裁判上の請求が行われると、裁判所の判決が出た時点から10年間が経過すると時効が成立することになります。

 

次に、「裁判外の請求」というのは内容証明郵便などを使って書面で通知することをいいます。
(口頭でも時効の中断にはなりますが、通常は証拠を残すために内容証明郵便を利用します)

裁判外の請求を行うと6ヶ月間時効計算がストップします。

時効まで残り1ヶ月、というタイミングで裁判外の請求を行うと時効までは残り7ヶ月に延長されるということですね。

ただし、裁判外の請求の場合、時効計算がストップしている6ヶ月間の間に裁判上の請求をおこなわないと、その効力がなくなってしまいます。

 

つまり、債権者側の立場としては、「裁判外の請求」は後で「裁判上の請求」を行うことを前提として使う必要があるということですね(詳しくは後述)

 

 

・時効の再開について

時効の中断が行われたあとには、その時点から新たに時効計算がスタートすることになります。

たとえば最後の取引から4年11ヶ月間が経過したタイミングで貸金業者などから時効を中断されたとすると、その時点からさらに10年間が経過しないと時効は成立しないということですね。

なお、時効の中断には「裁判上の請求」と「裁判外の請求」の2種類があることを上で解説させていただきましたが、このうち「裁判外の請求」を行った後は6ヶ月以内に裁判上の請求を行わないと時効中断の効力は消えてしまいます。

内容証明郵便などで「時効を中断します」と債務者側に伝えることで時効は中断しますが、そこからさらに6ヶ月以内に裁判に訴えるなどしないと時効の中断はなかったことになるということですね。

裁判外の請求は消滅直前となっている債権の時効を一旦ストップして、そのストップさせている間に裁判の準備をするなどの方法で使われることが多いのです。

 

 

・個人からの借金

上でも少し触れましたが、借金の消滅時効は、「消費者金融などの業者から借りる場合」と、「友人や知人などの個人から借りる場合」とで時効までの期間が異なります。

これは「誰から借りたか?」によって適用される法律が異なるためです。

個人からの借金の場合は民法に基づいて時効計算を行うのに対して(民法第167条)、業者からの借り入れの場合には商法によって時効計算を行います(商法第522条)。

個人からの借金は最後のやりとりから10年間が経過することにより時効が成立することになります。

注意点としては個人とは言っても「個人事業主」として税務署に開業届を出しているような人は、商法上の「商人(少し古い言い回しですが、法律上このような表現となっています)」とみなされることです。

付き合いのある個人事業主の友人からお金を借りたという場合には消滅時効の期間として5年間が適用される可能性があります。

なお、こうした消滅時効に関するルールは改正作業が進行中です(平成27年に通常国会にて法案が提出されました)

改正後にはすべての債権について「債権者側が権利の行使をできると知った日から5年、または権利行使ができるときから10年間が経過すると消滅する」ことになる見込みです。

 

 

・業者からの借金

上でも解説させていただきましたが、業者からの借金は「商人」からの借り入れとなるため5年間の消滅時効までの期間ということになります(商法第522条)。

なお、一口に「業者」といってもどのような相手であるかはさまざまです。

一般消費者がお金を借りる業者としては、銀行や信用金庫、消費者金融などの金融機関が考えられます。
住宅ローンなどもこれに該当します。

 

少しイレギュラーな事例としては保証協会による求償権の行使があります。

たとえば銀行からお金を借りるときには「保証協会に対して保証料を支払う」ということを求められることがあります。

 

万が一、銀行に対する借金返済が滞った場合には、銀行側は保証協会に対して「普段から保証料を支払っているので、これだけのお金を保証協会から銀行に支払ってください」と請求します。

私たちが加入している生命保険と同じような仕組みですね。

普段から保険料を支払う代わりに、万が一のことがあったときには保険金を受け取れるようになっているわけです。

保証協会としては銀行からの求めに応じて、銀行に対して私たちの借金を肩代わりして支払をすることになります。

なので、それ以降は銀行からではなく、保証協会から請求が来ることになります(「肩代わりで払った借金があるので、その分を返してくれ」という意味です)

これが保証協会による求償権の行使です。

なお、保証協会からの請求は銀行のように分割返済ではなく、一括返済を求められるのが一般的です。

分割で借金を支払えない人にとって、たいていの場合一括返済は不可能でしょうから、保証協会による求償権行使まで進んでしまった場合には裁判上の請求に発展することになります。

 

 

・飲み食いのツケ

なじみのスナックでお酒を飲んだ客が「ママ、つけといて」と言いながら席をたつ場面はテレビドラマなどでよく見かけますよね。

あれは要するに「後でまとめて払うから、チェックしといてね」という意味ですが、この「飲み食いのツケ」に関しては消滅時効は1年間で成立するとされています。

1年間スナック側から「ツケの分を払ってよ」という請求が全くされなかった場合には支払の義務からはのがれることができるというわけですね。

なお、現在進行中の民法改正が完了した後はこの「飲み屋のツケ」に関しても消滅時効は5年間となる見込みです。

 

 

・商品購入時の買掛

事業者が商品を仕入れるときの買掛け金に関してはどうでしょうか。

商品購入時の買掛け金に関しては2年間で消滅時効が成立します(民法173条)

これに関しては上で解説した「商人」の規定が該当する(だから5年?)のでは?と疑問に思われる方もおられるかもしれませんが、実際の裁判例では2年間で消滅時効が成立するとされました(法律家の間でも判断が分かれるところです)

商品購入時の買掛け金に関しても、民法の改正が完了した後には5年間の消滅時効となる可能性が高いです。

 

 

・慰謝料

実際上、問題になることが多いのはこの慰謝料の消滅時効です。

慰謝料の消滅時効は「損害が発生したことや、その加害者が誰かを知ったとき」から3年間とされています。

さらに、その慰謝料が発生する原因となった不法行為が行われた時点から20年が経過したときにも時効が成立するとされています(民法724条)。

 

たとえば、妻子のある男性と不倫関係を持っていた女性が、その奥さんから訴えられたというケースを考えてみましょう。

その奥さんが「夫が不倫をしている」と知ったときから3年間慰謝料の請求等を行わなかった場合には時効が消滅する可能性があります。

また、夫が20年以上別の女性と不倫関係にあることに気づかなかったという場合にも慰謝料に関して消滅時効が成立する可能性があります。

 

借金に関して慰謝料の消滅時効が問題となるケースとしては、債務者側から過払い金の消滅時効を争う場合が考えられます。

たとえば、過去に完済した借金について過払い金の消滅時効が成立するだけの期間が経過したが、「過払い金が発生するような違法な貸付を行った」ということが「業者側の不法行為」に該当するような場合には消滅時効の不成立を主張することなどが考えられます。

この場合、消滅時効は20年ということになるため、通常では時効が成立しているとされる過払い金についてもその返還を求めることが可能になるというわけですね。

 

 

・時効の援用とは?

もし一定期間権利行使をせず、客観的には時効が成立する状況になったとしても、そのままだれも「時効が成立しているので無効です」ということを主張をしなかった場合には、権利が消滅してしまうことはありません。

時効は成立することによって利益を受ける人が「援用(えんよう)」しない限りは成立しないのです。
実際には、時効の援用は債権者側に対して内容証明郵便で通知することによって行われることが多いです。

時効の援用は債務者本人が行えるほか、債務者の連帯保証人なども行うことができます。

たとえば、お金を借りるときに親が連帯保証人になっていて、債権者が保証人に対してはお金を返すように請求しているが、本人に対しては請求していないというような場合を考えてみましょう。
借金をした本人が自分の債務について時効を援用しない場合にも、連帯保証人は本人の借金について時効の援用を行うことができます。

その結果、主債務(本人がした借金)が時効により消滅するため、保証債務も自動的に消滅することになります。

連帯保証人である親としては本人の借金が時効にかかることにより間接的に利益を受けることから、自分以外の人間(この場合は借金をした本人)が負っている債務について時効の援用が認められているというわけです。

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